難病・慢性疾患全国フォーラム2014に行ってきた
11月9日土曜日に浅草橋ヒューリックホールにて行われた「難病・慢性疾患全国フォーラム2014」に行ってきました。
事前に参加申し込みをして参加費を振込み、参加証が送られてくるので、当日は会場でそれを出す仕組み。
当日申込みもOKでした。
当日はUstreamで配信してましたが、当日見れなかった人のために視聴できるようになってます。(こちら)
私たちは地下鉄で行ったので、エスカレーターなどもあまり不便はなく、会場はJR浅草橋の目の前だったので、便のいいところでした。
帰りにわかったことですが、帰りはJRに乗ったところ、浅草橋ってエスカレーターどころかエレベーターもないのね。
こういうイベントを行うのに、バリアフリー未対応の駅ってのがちょっと引っかかりました。
(エレベーターはいずれ設置されるようなことを駅の構内に書いてありましたが)
他にいい会場はなかったのかな。
実際会場内、杖ついてる方多かったですし。
会場で受け付けを済ませ、中に入り椅子を確保。
ホールの外のロビーには展示物などもありました。
12時半スタート。
まずは主催者のあいさつ。
そのあとは高階恵美子厚生労働大臣政務官、丹羽登特別支援教育調査官の来賓あいさつ。
いよいよスタートです。
画像のように正面の檀上にモニターもありましたが、正面以外にもサイドに後ろの人も見えるように複数のモニターがありました。
こんなふうに後ろに座ってる人たちにもよく見えるようになってます。
このフォーラムは3部構成になってます。
1部「難病・慢性疾患患者・家族が地域で生きるために」
というテーマで、患者・家族テーマ別の発表がありました。
① 教育「病院生活と院内学級~長期入院した経験者の語りから~」(小児がん経験者)
神経芽腫・・・小児がんの組織型の一種。神経堤細胞に由来する悪性腫瘍で、主に副腎髄質や交感神経幹から発生する。副腎から発生する腫瘤として発見される。転移先として肝臓、骨、骨髄が多い。
内容
・「つらい」「やめたい」などのネガティブ発言が許されない
・食事の内容、検査や治療などにかかる時間が「管理空間」で、病院での特異的な空間の中で生活を送る
・入院中は病院に併設した特別支援学校やその分校、院内にある学級に通学
・小児科病院にすべてに設置されてるわけではなく、またあったとしても院内学級の存在を知らされないこともある
・地域によっては復学後、偏見などもあり元の生活に戻れないこともある(説明や理解が教員間でもいきわたってないことがある)
・子供だから理解できないなどと言わず、本人の送りたい学校生活を意見として盛り込むことが大事
② 就労「見た目にわからない障害の理解のために」(クローン病患者)
クローン病・・・主として口腔から肛門までの全消化管に、非連続性の慢性肉芽腫性炎症を生じる原因不明の炎症性疾患。
内容
・寛解期には健康な人と同じように働くことができるが、定期的な通院が必要
・再燃期や体調が落ち着かない時期は、体調を崩しやすく、ストレスは増悪因子になりやすいので、仕事の内容や時間に配慮が必要
・障害者手帳や障害年金が得難く、無理しても働かなければならない(生活ができない)
・継続的・周期的に起きる症状で、社会参加に支障が生じやすい
・企業の就業規則に従った勤務が難しく、非正規労働者でありワーキングプアにある者も多い
③ 医療「医療費負担の課題、第一次指定難病には入ったけれど」(再発性多発軟骨炎(以下RPと略します)患者&家族)
再発性多発軟骨炎・・・原因不明の軟骨の破壊・腫脹を来たす慢性疾患。膠原病類縁疾患、自己免疫疾患のひとつで、全身の軟骨に炎症をきたし、その名のとおり寛解と再発を繰り返す。
内容
・指定難病第一次疾患に認定となり、医療費助成が開始
・RPの治療ステロイドと免疫抑制剤の投与では病状は抑えきれず、副作用で通常の生活も大きな支障をきたす
・生物学的製剤がRP治療に効果があると多くの医師が認めているが、保険適応外、高額の治療費を捻出できず、治療を断念し重症化する患者が多く存在する(効果ある治療が受けられない現実)
・指定難病の谷間に苦しむ患者が多く存在、1日も早く患者の手に効果がある薬剤が届くよう、臨床研究を推進して頂きたい
④ 医療「先天性心疾患の小児期、成人期の医療費、移行期医療の問題」(先天性心疾患患者家族)
先天性心疾患・・・胎生期から乳児期においての心臓・大動脈系等における形成異常。
内容
1 小児期の医療費問題
・小児慢性特定疾患治療研究事業での医療費助成や自治体の乳幼児慰労費助成などで負担は少ないが、遠方の病院にかかることが多いため、交通費や付き添の負担、高額な差額ベッド代が発生する病院も多い、またその他の自己負担額も大きくなる
2.成人期の医療費問題
・先天性心疾患は特定疾患の対象ではないため、小児慢性特定疾患治療研究事業の助成を受けてきた患者は20歳で公費助成が途切れる
・身体障碍者手帳の認定も厳しくなっており、再認定で降級されるケースもある
・成人後大人の心臓病を発症することが多く、再手術を行う患者が多いが、手術をする場合公費助成を受ける条件が厳しい
・民間保険に加入できないので、負担は大変大きい
3.移行期医療の問題
・先天性心疾患を診てるのはほとんどが小児科医師(循環器の医師はわからないことが多い)
・大人になった先天性心疾患患者は肝機能、腎機能の病気を発症することが多く、複雑な病状になる
・循環器内科と小児科医との連携の必要性が注目されはじめた
4.お願い
・先天性紳士疾患と生活習慣病による虚血性心疾患は根本的に違うことを国や自治愛など多くのところで理解してほしい
・小児科と内科、他科にわたる医療連携の推進を地域の実情にあわせてほしい
・成人先天性心疾患外来の専門医の育成をしてほしい
⑤ 福祉「患者が求める福祉施策」(ウェルナー症候群患者)
ウェルナー症候群・・・早老症のひとつ、低身長、低体重、白髪、両側性白内障、皮膚の硬化・萎縮、耐糖能低下、骨粗鬆症、性腺機能低下、尿中ヒアルロン酸量の増加が顕著。多くの場合、平均40-50歳で動脈硬化もしくは悪性腫瘍が原因となる疾患によって死亡する。
内容
・難病患者が障害福祉サービスの対象とされたことは大きな意味がある
・障害等級で受けられる支援が決まるため、・難病患者は生活支援が必要であっても、その必要性がなかなか社会的に認定してもらえないこともある
・法令や申請が複雑、1つの書類上のミスで申請が通らないことも多く、必要な支援等が受けられなくなる(あるいは時間がかかりすぎる)
・患者が地域で生きていくには、地域に充実したソーシャルワークの機能が求められる
⑥ 介護「ALS(筋委縮性側索硬化症)の介護を通して難病患者の介護、生活について考える」(ALS患者)
筋委縮性側索硬化症・・・重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患、とても進行が速く、半数ほどが発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡する。治癒のための有効な治療法は現在確立されていない。
内容
・ALSはどんな病気か?(参照)
・ALSの介護
→ 独居患者が少ない(24時間他人介護が必要になり、介護人等の手配のめどが立たない患者が多い現実)
第一部は患者の現実、実際の体験、今まで経験した問題点、希望などを交えての発表でした。
この6つの病気の中で、私が知ってる病気は小児がんとALS、名前は聞いたことあるという病気はクローン病と先天性心疾患、再発性多発軟骨炎とウェルナー症候群は初めて知りました。
だいたい1人10分程度の持ち時間だったと思います。
休憩を挟んで第二部。
「難病・慢性疾患患者・家族を支える立場から」をテーマに、今度は患者を支える側からの発表でした。
① 「現在の特別支援教育と小児の難病・慢性疾患児の教育について」(東洋大学教授)
内容
特別支援教育の仕組みについて、難病や慢性疾患のある子供の教育の現状と課題
・就学先は本人や保護者の意見、地域における教育体制や支援内容などを総合的に判断して決定される
・通常の学級を担当する教師が難病や慢性疾患に留意しながら指導することが求められる
・いまだ十分とは言えない、今後教育支援の充実が必要
② 「難病患者の現状と今後の対応について」(訪問看護認定看護師)
内容
訪問看護とは何か?何をするかの説明、難病患者とのかかわりと今後の課題
・訪問看護は年齢に関係なく利用でき、かかりつけ医が交付した「訪問看護指示書」に基づき必要なサービスが受けられる
・サービス内容(療養上のお世話、医師の指示による医療処置など)
・発表者の所属先の難病患者の利用数(15名前後/110名前後の利用者)、年齢層(20~70代)、訪問回数(1~3回/週)
・訪問看護のケア内容(バイタルチェック、状態観察、医療機器の管理、排痰ケア、排便コントロール、膀胱洗浄、リハビリなど)
・課題 連携の必要性(医療・介護・地域など) 医療と介護と行政のつなぎ
③ 「難病と相談支援について」(相談支援専門員)
内容
・相談支援専門員・・・障害福祉分野におけるケアマネージャーの役割、生活全般の相談に対応するのが本来の役割。サービス等利用計画の作成なども含まれる。
・難病の相談支援・・・現状、相談は少ない。
理由として考えられること:相談支援事業の普及啓発の不足、難病患者が使いやすい社会資源の圧倒的な不足
相談内容・・・経済的、医療面の問題が多い。
相談が少ないため、ケースの積み上げがない=難病相談の力量もあがらない → 相談することで難病相談支援が育っていく
・医療と福祉の連携が必要
④ 「患者会としての障害年金請求支援」(社会保険労務士)
内容
・障害年金の障害認定基準について
・日常生活に支障を来している状況がしっかりと繁栄されている診断書となっているか、請求者の申し立て内容も支障を来している状況をしっかりと訴えられているのかが大事なポイント
・「障害年金無料相談」なども開催されている
・年金事務所が存在しない市町村には、管轄の年金事務所が月2,3回出張相談日を設けてるのでその広報を十分にしてほしい
・患者会は制度の道しるべ、案内人になってほしい
⑤ 「難病法施行にむけて~臨床を通して感じたこと」(作業療法士)
内容
・作業療法士(OT)の活動領域は身体・精神・発達・老齢期とある
・発達評価や発達の促進、生活動作の工夫の指導、道具の工夫、コミュニケーション機器の導入、IT機器の活用のアドバイス、各種サービスの紹介・調整、住環境調整、家族会との協力(身体)
・心身の基礎的機能・生活リズムの回復、ストレス対処法、地域と連携し就労支援など(精神)
・臨床を通じて 難病に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成制度の確立、難病の医療に関する調査及び研究の推進、療養生活環境整備事業の実施の必要性を感じる
第二部は発表者の発言が10分弱、質疑応答時間ももうけられてました。
第三部はフリートークとなってましたが、私たちは第二部まで聞いて退席しました。
この日はNHKの取材も入っており、11月27日にハートネットTVで難病をテーマにしたものが放送されるそうです。
現在、難病についてのみなさんの声を募集してます。
冒頭の画像のポジティブな意見、ネガティブな意見などのアップ
各患者団体の意識調査
まとめアップ
また各団体のパンフレットなどもおいてありました。
第二部がだいたい16時過ぎくらいまでかかりました。
コメントを残す