POEMS(クロウ・フカセ)症候群 休薬⑥ 出産について考える

2015.9.10 診察日

前回の6月からの3か月間。
体調は比較的よく、特に大きな問題は出てこなかった。
ただ1点。
8月の終わりから急に涼しくなってきたら、咳がまた出始めてきた。
この冬からずっと続いてるこの咳は、7月くらいからはかなり落ち着いてきていて、朝の出勤も自分で歩いて行けるようになっていた。
(疲労が抜けない時は除く)
本人が言うには、喉が痛いわけではない、喉がイガイガするわけでもないとのこと。
よく見てると、朝食夕食のあと、歯磨きのあとに軽く咳が出はじめる。
あと朝のお風呂のあとに出てくることが多いのだけど、夜のお風呂のあとに咳が激しく出るわけではない。
スーッとする歯磨き粉を使うと誘発されたように朝だけ咳こむ。(夜は大丈夫)
咳が激しいとそこから嘔吐しそうになるので、その時は車で会社まで乗せていく。
この咳は同じ体勢(この場合は座ってる)でじーっとしてると2,30分でおさまる。
じーっとできないといつまでも続いてしまう。
この咳の問題以外は特に何もなかった。
血清VEGF:309(2014/10)→423(11月)→274(12月)→257(2015/3月)→175(6月)
握力 右39 左36

本日の検査
採血・採尿・心電図・レントゲン・CT・筋電図検査
CTやレントゲンもきれいだそうです。
筋電図も状態は今までで一番よかったそうです。
少しほっとした。


昨年末、休薬になって1か月の時に主治医から大きな提案をされたと書いた。
それは「病状が落ち着いてる今、お子さんのことを考えてみてはどうか?」ということでした。
私たちは治験に参加すると決めた時に、子供を持つことを諦めました。
一度捨てた選択肢が敗者復活の如くよみがえってきたことで、私たちは大きな壁にぶつかったと言ってもいいくらい悩みに悩みました。
子供を持たない場合は今と変わらない生活になります。
けど子供を持つ場合は今とはまったく違う生活になります。
また私も高齢出産年齢なのでいろんな不安材料があります。
不妊治療などを行う病院のホームページをたくさん見たのですが、その中で診察時に必要なものに必ず入ってるのが基礎体温表。
まずはこれがないと診察もできないかと思って、つけることにしました。
その間、不妊治療のクリニックについて調べたり、体外受精などについても調べたり、子供を作ることを選択した場合の不妊治療に必要になりそうな金額(最低ライン)、高齢出産のリスクなどについて調べました。
(最高ライン=子供ができるまでというのは金額がどれくらいになるかまったく予想できない)
高齢である私にとって、もし子供を作ると決めたら自然妊娠を待つのは時間的ロスが大きすぎる。
というわけで、私、初めて不妊治療の病院に行きました。
半年分あれば基礎体温表があれば判断することができるのではないかと。
女性の場合はもうちょっと複雑です。
私の場合ですが、採血は1度では終わらなかったし、内視鏡検査も行くたびにありましたし、排卵してるかどうか、排卵しそうな日がいつか、生理中の内視鏡もありましたし、子宮卵管造影もやりました。
一通りの検査が終わるまで2か月くらいかかりました。
思ってたよりも時間がかかりました。
これはちょっと事情があったのですが、1番大きな点は私たちはフーナーテストという性交後の子宮頚管粘液の中にある精子の状態を見る検査ができなかった点が大きいです。
出来なかった理由は、夫が現在まだ治験に参加してるので、禁止事項の1つに妊娠不可の項目があり、避妊具を使わないという選択肢は私たちにはなかった。
その事情を説明したうえでの不妊検査だったので、時間がかかったのもあったと思います。
検査についてはこちらをご覧ください。
また各病院のホームページでも詳しく掲載されてますし、病院によっては月1度くらいセミナーや勉強会などを開いてるところもありますので、そういうところに参加してみるのもいいと思います。
私が検査を受ける前からわかってることは、子宮筋腫がいくつかあること。
今回病院で診てもらったら5cmくらいのものが見つかり、前回健診で診た時から大きくなってることが判明しました。
それと若い時に子宮筋腫の手術をしてるのと、その時にやった子宮卵管造影で片方の卵管が通っていかなかったこと。
これは今回の子宮卵管造影でも同じ状態が確認されました。
採血の結果で、いくつか妊娠できる可能性があるかどうかの項目があるんですが、そこらへんは年齢のわりには優秀だったそうで(苦笑)、「もし子供を作るなら体外受精から始めてみたらいかがでしょう?」という提案をされて、一通り終えました。
そこから夫と私の話し合いが続きます。
いろんな意見も出たし、もし~ならばの仮定の話も出ました。
夫は病気の再燃をとても心配してる。
もし再び病状が悪化し入院治療などを行った時に、子供がいることで私の負担が大きくなりすぎるのではないか?ということ。
子供がいなければ、自分(夫)に何かあって万が一先立ってしまった場合、私1人なら何とか生きていく術はあるだろうが、子育て中にその状況になってしまった時に経済的な心配が大きくなってくることをあげている。
多分このことが夫の中では相当大きな懸念になっている。
今回いろいろと本音をぶつけあった時に、夫が初めて語ったことがいくつかある。
告知を受けた直後、棺桶を選んでる自分という夢を見て、「俺、結構ショック受けてるんだな」って思ったことがあったことを話してくれた。
夢の中では棺桶の中に入って、寝心地(?)まで確認していたそうで、ショックの大きさがかなりわかる内容だった。
夫の懸念事項はもっともだと思うけど、逆の場合もある。
私たちはこれから老いていく。
これは変えられない事実。
仮に子供がいたとして、私もこれから病気になることが絶対に出てくる。
風邪とかならいいけど、長期に治療を必要とする病気になった時に小さい子供を抱えて仕事をし、私のことを考える夫という場合もあるわけで。
でもできれば子供はほしかった。
治療開始した年だったら絶対不妊治療をしてでも子供を作っただろうと思う。
あと1年若かったとしても、多分治療しただろう。
でも今、私が妊娠して出産したら、私の年は42になる。
そこから子供を育てて、大学まで出すとなると、夫も私も歳を取りすぎてしまうし、老後の資金も確保しておかなければいけないし、病気が再び悪化した時の治療費も確保しておかなければいけない。
不妊治療でかかる治療費は、日本で一番不妊治療の実績があるであろう加藤レディスクリニックを参考にすれば、これだけのお金がかかる。
預貯金があっても、夫の万が一の病気の治療費、介護費、不妊治療費、さらには子供を育てる費用、これらすべてを叶えるのは無理。
自分が育った環境で学費等をざっくり計算したら、日本の平均よりはるかに高かった。
同等の教育を受けられるほどの費用の捻出は今の私には無理だ。
3歩進んで2歩下がるどころの話しあいではなかった。
3歩進んで4歩下がってマイナスだなって状況にもなったし、決断が出ないままずいぶん時も過ぎてしまった。
ただほしいから作るという状況ではないと思うし、老後までを想定すると「ほしいから作りたいとはとても思えない」ということも伝えた。
さらに実母の具合も実はちょっと思わしくない。
現在検査中ではあるけど、最悪がんの再発も想定すると、夫、母、そして子供と言うのは絶対無理だと思う。
だからファイナルアンサーとしては、子供を作る選択肢は再び捨てるべきだと考えてるということを検査前日に2人で決めた。
・・・はずだった。(苦笑)
実は私たちに「子供を持ってはどうか」という提案をした主治医とは今回会えなかった。
代診の医師にそのことを言うのもなんだかおかしな話だと思う。
ということで、今回子供を持たないというつもりで病院に行ったのですが、伝えないまま帰ってきたので保留中のままになっている。
再び悩む時間を与えられたとも言えるけど、よっぽどのことがない限り、この考えは多分変わらないだろうと思ってはいる。
何よりも夫の意思はかなり強かった。
ただ私が「子供が絶対ほしいほどではないけど、できればほしかった」という本音を語ったことで少しぐらついてもいる様子。
結局無限ループに再び戻ってしまったけど、現時点ではこの病気になっても、子供を持つことができることは医師からの提案でわかったし、状態が問題なければ妊娠・出産は可能であるだろうとも思う。
ただただ私たちはこの件に関しては運が悪かったのと、情報がなさすぎた。
普段からいろんな可能性を想定してきてたし、画一的にならないために情報も収集してきてたけど、この点だけはどうにもならなかった。
やはり難病と告知された時は視野も狭く、考えも浅はかな点が多かった結果だろう。
今後、POEMSの様々な情報がもっと世に出て、悶々としてる患者さんやそのご家族にちゃんと届くよう私たちは切に願ってる。
私たちは治療開始する直前、家を買う予定だった。
でも病気がわかって、家を買うことは諦めた。
そして今回子供を持つことも諦めた。
この病気はどこまで人にいろんなものをあきらめさせるんだろうとはたまに思う。
私はたくさんの人たちとこの病気になったから出会えた縁はありがたく思ってるし、大事にしたいとも思ってる。
病気になったからわかったこともたくさんあった。
当たり前だと思ったことが当たり前ではなかったこともわかった。
夫が何よりも大事な人で、毎日今こうして一緒に生きていられることがとても幸せだ。
けど、この病気になってよかったとは絶対に思えない。
むしろこの病気自体が多分「憎い」とか「嫌い」とかの黒い気持ち側への分類に入ってる。
だからこそこの病気の根治を目標にしたいし、自分たちがこんな経験をしてきたからこそ情報を広めることの大事さを痛感しているし、こんなネットの僻地でつらつらとPOEMSについて書きなぐってきている。
悩み、考え、選びながら、私たちは前を向いて生きてく。
失敗もたくさんしたことは治療期間中の更新で様々書いてきた。
これらの患者や家族目線の情報、そして医学的な情報、さらに神経症状の体幹・リハビリ情報など、もっともっと患者に届くようになってほしい。
そのために、今回本当に生々しい上にこんなぐるぐるな感情を持ったままの妊娠についての情報がどこまで役に立つかはまったくわからないし、まったく役に立たないかもしれないけど、とりあえず情報の1つとしてここに提供できればいいなぁと思ってます。
結論としては諦める。

次回更新予定は12月頭頃の予定です。

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